その１
「ガタガタ言ってると、またこの羽をあなたの鍵穴にぶち込むわよ」
「ふふ……鍵穴なんてもうわたしたちにはないのよ、水銀燈」
「水銀燈ったらエッチ……ポッ。そりゃ、わたしも水銀燈のその白い羽とかで鍵穴をチョメチョメしてもらえたら、キャッ！ 言っちゃったぁ言っちゃったぁ」
「ち、ちょっとめぐ、なに考えているのよぉ」
「……まぁ、ウフフ」
「オディール、変なの？ 羽なんか入れたら駄目だよ水銀燈。雛、あの時ひどい目にあったんだから」
「ふぅ。下品ね」
「ん？ めぐは一体何を言ってやがるですか？ 羽は食べられないですよ？ でもまぁ、この世界では蜂を食べたりするという話ですから･･････ぺろり」
「ちょっと翠星石！ そんなことしたらお腹を壊すわよ。水銀燈の羽はもともと野生のドバトと同じだから、いろいろ汚いバイキンが付いているのだわ」
「何ですってぇ」
「そんなモノ食べたら、お腹を壊すといっているのよ」
「ひえっ」
「やっぱり。翠星石、ジュンを呼ぶわ。これは緊急事態よ！ 生死に関わることだわ」
「ほんとぅにおバカさぁん。そんなことでお腹壊すことなんて……無いわよ！」
「あ、甘いですよコレ。それに何だかお菓子の香りがいろいろとするです」
「ああ、翠星石！ 脳をやられてしまったのだわ！ なんて恐ろしい娘、水銀燈！！」
「いい加減にしなさぁい！」
「んー？ あ、おいしい」
「オディール、ちょっとちょっと……どれどれ。うわぁ！ 美味しい」
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その２
その日の午後のティータイムは、盛大……となるはずであった。
なにしろ水銀燈初め、蒼星石に真紅、雛苺にめぐとオディール、客として水晶に白崎ことラプラスの魔、そして珠理。当然、翠星石。
「とっととやるです。ラプラスの魔。今日は今までの罪滅ぼしに、この翠星石を手伝うですぅ」
「はいはい。えーと、テーブルの飾り付けはこのメモの通りですね。そして、お茶受けはサンドイッチにクッキーに、おせんキャラメル、あめ玉、と」
「もちろん、翠星石のスコーンも忘れちゃ困るですよ」
「わかりました」
すっかり、こちらの世界に来てからは執事よろしく、素直に薔薇乙女たちのティータイムをせっせと手伝う白崎であった。
なにしろこれだけの人数分をいっぺんに供するのだから、翠星石だけでは手が足りない。客である白崎が手伝うというのもひどい話ではあるが、なにしろラプラスの魔の頃のイタズラが響いている。いつもなら手伝う、めぐとオディール、そして雛苺も、今日はおとなしくテーブルについて、支度を待っている。
もう夏の盛りもとうに過ぎて、秋が本格的に深まってきたこの頃。
この日は暑くも寒くもなく、ちょうど良い気候だった。空は高く澄み渡り、夏に焼き尽くされた後の冷めて乾いた、枯れた空気と雰囲気が心地よい。その夏を乗り切った安楽の気をさらに癒やすように、時折爽やかな風が頬を撫でる。
まさに絶好のティータイム日和だった。
二つのテーブルが用意されて、その上に純白の洗い立てのテーブルシートがかけられ、３つのパラソルが、まだ少し強い日差しを和らげていた。
やがてテーブルには陶器製の３段になっているケーキスタンドが３つ、運ばれてきた。上からミニケーキ、スコーン、それにサンドイッチが盛られている。
食べ盛りの乙女たちのお腹の虫おさえだけに、量はたっぷりである。
「うわー。こんなにたくさん。雛、はやく食べたいのー」
身を乗り出して雛苺がうれしそうにケーキスタンドを見つめる。
「雛苺。お行儀が悪くてよ？」
それを真紅がたしなめた。
水銀燈はそんな様子をふあぁ……と気だるげに欠伸をしながら、ただ見ているだけだった。そのかたわら、妙にめぐが水銀燈にピッタリ密着したように椅子同士を寄り添わせて座っている。オディールはそんな二人を時折、チラリと見て、恥ずかしそうに頬をかすかに赤らめていた。
水晶と珠理は仲良く並んで、テーブルは客座の位置に鎮座していた。もちろん、まだ比較的幼い二人だけに、そんな水銀燈たちの異様な様子には気がついていない。
「……こうして先輩のお姉様方とお茶をご一緒できるなんて。素晴らしいわ」
ほんのちょっぴり、興奮した声の珠理。確かに今まで、たった一人だけ、この世界に存在していた「生きた」ドールだっただけに、両親の慈愛に包まれて育っていても、どことなく独りぼっち、の寂しさを感じていた。無理もない。
そこへ水晶、次いで薔薇乙女たちがやってきたのだから、彼女にとっては仲間というか、同じ命の入れ物を持つ、ローゼンから師弟関係に始まって繋がる遠縁の親戚というべき姉たちが一気にできたことになる。うれしさもひとしおだった。
水晶は心の中に、かつて敵対した薔薇乙女達を前にして、微妙な気分だった。
既に禊ぎは受けている。だから、罪悪感をもう感じなくても良いはずなのだが、どうしても胸に残るものがある。
そんな水晶に気を使って、蒼星石が隣に座る。
「水晶、僕がこんなこというのも変だけど、緊張しなくていいから」
「ありがとう。蒼星石。だけど、やっぱり気になってしまう」
「そんなこといってたら、アリスゲームに関わっていた僕たちは互いに気まずい思いばかりをしてばかりさ。楽しむ時は楽しむ」
（あら？）
そんな二人の様子を、めぐからじわじわと距離を離そうと様子をうかがいながら、器用に足で椅子ごと、離れようとしている水銀燈が見ていた。
（あらあら……変われば変わるものねぇ）
水銀燈は、蒼星石の様子を見て感慨深くそう思った。そこへ、テーブルにおいてあったコードレス電話のコールチャイムが割り込んだ。
素早く、それを手にしようと椅子から立ち上がり、同じく電話を取ろうとする白崎を、しっ、しっ、と手で払いながら、電話を取る。
･･････これでめぐから離れられる。
「はぁい」
いつもは電話を取ったりしない水銀燈だけに、気だるげな声で応じる。
「あら？ そう？ そうなのぉ？ ちょっと待っててね」
そのあまりにもやる気のなさそうな電話の応対に、少し憤る真紅。
（なんなのまったく。水銀燈ったら。この電話の出方といったらないわ。一度、しっかりと礼儀作法を、この真紅が教えて上げないとダメなのだわ）と思った。
「薔薇水晶、電話よ。あなたに」
「え？ わたしに？ はい」
水晶は水銀燈から電話機を受け取った。
水銀燈相手に、こんなごく日常的な仕草をすることが、違和感があるというか、奇妙に思えてくる水晶。
得体の知れない空間で、互いに悪役よろしく、けん制し合いつつも悪だくみを考えている、そんなタイトな関係とやり取りの方が安心できるかのような錯覚。
けれど、これはあくまでも慣れの問題なのよ、と我に返る。
「はい。水晶ですけど」
相手は父、槐であった。
内容はつまり、ドールショップ「槐」に、どこからかお客さんが大挙してやってきて、一人留守番しつつ、仕事をしていた槐がてんてこ舞い。なんでいつもお客さんなんかほとんど来ないのに、せっかく水晶が薔薇乙女たちと親交を持とうとした日なのに、なんでこんなことになるのか訳がわからないよ。初めはわたし一人で応対してはみたものの、やはりわたしは職人であって、白崎のようにうまく客捌きができない。できれば白崎だけでも戻ってきてくれるように、お願いできないか。という話であった。
「はい。わかりました」
仕方なく、水晶は蒼星石、そして次に翠星石にことの次第を知らせて、白崎にも伝えると、こりゃ大変だ、と、よくあるウサギのキャラクターそのままに、支度の一区切りで切り上げ、ゴメンなさい、かくかくしかじかで失礼します、と足早にエプロンを放り投げて帰ってしまった。
どうしよう、と思案する水晶であったが、正直、やはりまだ薔薇乙女達、正確には一人を除く全員とお茶をするのは果たして、ケジメとしてどうなのかしら、確かにもう薔薇乙女達に悪意は全然無くて、むしろ申し訳なくて、居たたまれないキモチになりつつ……要はまだ心の準備が出来ていなくて恥ずかしいので、ゴメンなさい、と不器用にみんなに謝ると、白崎の後を追った。
隣の椅子が空席になった蒼星石が独り言のようにつぶやく。
「仕方ないなぁ……水晶」
気がつけば、いつの間にか水銀燈も姿を眩ましていた。
めぐはそんな水銀燈の態度をつまらなく感じたのだろう。黙って立ち上がると、家の中に姿を消した。
（まったく、ドールがドールなら、ミーディアムもミーディアムね。何か一言でもお詫びというものを入れてから立ち去るべきだわ）と、真紅は思った。
もはや、ほとんど小姑である。
「そんなことよりも、どうするですか。こんな大量のミニケーキ、スコーン、それにサンドイッチ。せーっかく、この翠星石が精魂込めて……そりゃ、ラプラスの魔も手伝ったですけどぉ……作ったのに、もったいないですぅ」
確かに、４人分の食べてが無くなったので、今ここにいる、翠星石、蒼星石、真紅、雛苺、そして普段、食が薄いオディールには食べきれない量だった。
珠理については未知数であるが、育ちから考えると、あまり健啖ではない様子。
オディールが空気を読んで、すこし考えた後、思い切って切り出す。
「あの、もし良かったら、何とか雪華綺晶も呼び寄せてみましょうか？ あの子、本当は寂しがりなんじゃないかと」
さすがにそれはまだ早いというか、剣呑すぎる。直ちに却下となった。
「そうですか……」
「まぁ、あの子なら、来たいときは謝客札をぶら下げておいても、傍若無人にやってくるでしょうし、そもそも普通にものを食べられるかどうか……」
少し落ち込んでしまったオディールにフォローを入れる真紅。
あの人形店での事件以来、真紅はオディールにより親近感を感じ始めていた。
少し３時を過ぎてしまったけれど、ようやく始まった茶会。
「名前は珠理といったわね。ようこそ、わたしたちのお茶会へ。ちょっとわがままな姉が中座してしまったけれど、歓迎するわ」
真紅は、珠理のために少しぬるめにした紅茶を差し出した。
「あ、すみません」
父から、真紅はローゼンメイデン中、一、二を争う傑作ドールだと聞いていたので、自然と緊張が入ってしまう。水晶を相手にしていた時は、ローゼンの弟子の手によるドール同士、ということで、血縁の関係に例えるのならば、いとこ同士、といった感覚で接することができたものだが、さすがに父の師匠であるローゼンの娘となると、これはもう自分よりもランク一つ上、となる。
こういう妙にズレた世知っぷり、実は珠理がバイトしている芸能関係で仕込まれたものなのだが、もちろん珠理はまだそのことに気づいていない。おマセでいるようであるけども、薔薇乙女に繋がる縁もあり、やはり初心な少女なのであった。
一口、紅茶をすすった。本当は用意されているメープルシロップをタップリと入れた、甘いお茶にしたかったのだが、背伸びしてストレートのまま口に含む。
「あちっ」
少しぬるめとはいえ、真紅の基準からしてなので、普通に熱い。
「ああ、真紅は熱めが好きですから、気をつけるです」
翠星石が心配そうに声をかけるが、珠理は「大丈夫です」と、ふうふういいながらも、熱い紅茶を平らげた。
それを見た真紅は気に入った様子で「なかなか立派な飲みっぷりね。おかわりは？」と二杯目を薦めた。
「いただきます」
そしてまた、熱い紅茶が注がれるが。
「珠理、ストレートばかりじゃ美味しくないよ、ほら、僕の用意したメープルシロップも食べてみてよ」と、今度は蒼星石が珠理をアシストする。
差し出された小さな小瓶には、蒼星石が自分で作った甘味が詰められていた。
それはごく薄い琥珀色の、貴重なものだった。
そんな様子を見て、真紅はかすかに口元にほほえみを浮かべると、満足そうに、自分用の、とびきり熱い紅茶を口に含んだ。爽やかな芳香が口から鼻腔へと広がった。
「おいしい。こんなにあっさりしているメープルシロップ、初めてです」
庭師の力を持つ蒼星石謹製のメープルシロップだけに、味はカナダの上質のものに引けを取らない。
「本当。こんなおいしいシロップ、久しぶり」
オディールも感嘆の声を上げた。
「ふんふん。そうですか。実はこのシロップを煮詰めたのはこの翠星石なのですよ」
自慢げに胸を張る。
「……」
けれど、すぐオディールはちょっと暗い顔になった。
それを見て、すぐに真紅が諭すようにつぶやいた。
「誰しも何らかの秘密があるもの。オディール、それに負けてはダメなのだわ」
「はい」
何のことか解らず、呆気にとられる珠理と翠星石。
蒼星石は、何となくその事情に察しが付いていた。
オディールの過去は、春を売る少女。
究極の少女アリス……真に究極であるためには、性に関する部分……つまり、裏の闇の部分も備えている必要があった。純潔でありながら、男の肉欲も受けいれる、そんな相反した二面性も持つ必要がある。それを持ち、かつ一身に背負っていたオディール。現実に耐えきれず崩れ落ち、アストラルの身となった雪華綺晶には、まさに相応しいミーディアム。
そんな究極の娼婦である彼女には、いつも最高の食事が与えられていた。
とはいっても、その美しい肉体をぶよぶよと太らせるものはもってのほか。
野菜や、脂身の少ない上質の肉、果物やそれを搾ったジュースなど、とびきり新鮮なものが、栄養のバランスを考えつつ与えられていた。
もちろん、ある程度の運動も必要だったので、手や足がない状態で、背筋や腹筋を程よく保つ体操も必要だった。
幼いオディールはそれをよく嫌がったものだが、その躾には例の甘く紅いカクテルや、オディールの空腹が、効果的に用いられた。
つまり、ときにはそれが置いてある場所まで、オディールは這って行くことを強要された。ただし、そこまでの道のりには最高級のベルベットが敷かれ、その柔らかな肌を傷つけることがないようにはしてあった。
また、奇形の娼婦としてお客を満足させるには、体の柔らかさも必要だったので、泣きわめく彼女を回りで押さえつけてまで、徐々に柔軟性を持たせた。
そのせいか、彼女は四肢が無くとも、口やあごを器用に使って、服を着ることまでできるようになっていた。
その気になりさえすれば、彼女は自身で局所に舌を這わせることすら可能だ。
そんな彼女が客を取る時に、決まってそのしごく裕福な相手は、オディールの前に目の眩むような豪華な食事を用意するのが習わしだった。
もちろん、街で食べる相場より割高の料金で。
その料理の中に、よく入っていたメープルシロップ。
それはいつしか、オディールの好物になっていた。
翠星石と蒼星石のメープルシロップは、その時の最高級のものに引けを取らないものだったので、ついオディールに、暗い過去への意識のトリップを惹起させてしまった。いきなり上の空で過去の思い出に囚われたオディールは、乙女たちの視線に気がついた。
「あっ……」
現在に戻り、想いから戻った彼女は、翠星石、珠理や蒼星石に真紅が、心配そうに自分を見つめているのに気づいた。
「ごめんなさい。わたし。……あ、そうそう。こんなにたくさん、お茶請け、おいしそう。失礼します」
と言うなり、取り皿にどさりと、サンドイッチとプチケーキを盛った。
「そ、そんなに食べるのですか？」
翠星石が驚くほどの量であった。
「はい。わたし、一度にたくさん食べるのも、あの、訓練……していましたから」
用意された豪華な食事を健啖に食べてみせるのも、わざわざ高価な食事を用意した客への礼儀であったので、その点でも鍛えられていた。もともと、オディールは家系的に胃が丈夫であり、消化器官も健康そのものであったことも幸いしている。
「いただきます」
皆が呆気にとられる中、オディールはしずしずとかつ確実に、目前にある大量の食物を平らげ始めた。いつもはそんなに食べないのだが、この時ばかりと披露が始まった彼女の特技に、乙女たちもファイトを注入された。
「わたしも負けていられないのだわ」
「ひなもー」
「仕方ねーですぅ。片付けますか」
翠星石も真紅や雛苺にならって、皿に大盛り。
「やれやれ……僕は、マイペースで、と」
蒼星石はその性格からあまり胃は丈夫な方ではなく、普通の量。
「……………」
それを見ていた珠理も、皿いっぱいに。
「珠理、あなた無理することはないわよ」
「いえ、お姉様がたに負けていられませんから」
珠理の中でも変なスイッチが入ってしまったらしい。
そして、その晩。
「ああ……まさかこの私が食べ比べで負けてしまうとは。屈辱なのだわ」
「あ、お腹が重てーですぅ。き、気持ち悪い」
リビングのソファーの上で、真紅と翠星石が撃沈されていた。
呆れたように、それを眺める水銀燈。
「いくら何でも、あれだけの量を７人で平らげたらそうなるわよ。本当に、おばかさぁん」
あれから、意地を賭けた大食い大会が始まってしまったのだった。
その結果、真紅と翠星石は惨敗、蒼星石はもともと棄権、雛苺は蒼星石のガードもあって早々とリタイヤ。そして、勝者は。
「食べ過ぎた時はこうやって、お腹に渦巻きを描くように撫でるといいですよ。ほら、こうやって」
オディールがまるで何ごともなかったかのように、介抱に加わり、翠星石のお腹を撫で始めた。
「お前、３人分は平らげたというのに、なぜ、平気なのですか……あっ、そこ触ると、ダメですぅ」
「オディール。今は下手に触らない方がいいわよ」
もう一人の勝者である珠理の母である巴が、珠理の知らせで往診に駆けつけて来ていて、オディールをたしなめた。
医師であるこちらの世界の巴も、オディールの食べたという量を聞いて、びっくりしていた。人間の胃の容量は大体２リットルが限度なのだが、その３倍は平らげたという。それでも全く平気なこの娘は一体……と思いつつも、自分の娘もたしなめた。
「それにしてももう、珠理。あなたはドールなんだから、一時だけならいくら食べても平気。でも、真紅達は今は生身の人間なんだから、無理をさせてはだめ」
「はい。すみません。お母様」
珠理はしょんぼり、とうなだれていた。
けれども、翌日には真紅と翠星石はあっさり回復したのであった。
だが、生身の肉体が持つ真の恐怖を二人はまだ知らなかった。
翌々日、それぞれの入浴の時間になったとき、それぞれの絶望的な悲鳴がアパート中に響き渡った。それは呪われた体重計によってもたらされたのだ。
「おばかさぁん･･････」
その悲鳴を聞く度に、水銀燈はしみじみとつぶやくのであった。
だが、オディールも入浴前に体重計に乗るクセがあるとあると知っている。オディールも確かさっき、入浴したはずなのに。特に何も変わったところは無かったようだ。
「オディール、恐ろしい娘･･････」
メグも思わず呟いた。
雪華綺晶と同じく、謎めく少女、オディール。
＊おわり＊
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